こんにちは!もちゆきナースです。
グリセリン浣腸を行う際、昔から40度に温めて行うのが主流でしたが、最近は温めずに常温で行っているナースもいます。
温める必要性や、温めなくて良いと言われ始めた理由、
温める、温めない、どちらが正解なのか、
そして270人の看護師と看護学生に行ったアンケート結果から、
現在の傾向を解説していきます。
浣腸液を温めて使う理由
直腸内の温度は、37度~38度あります。便を排泄させるためには、この直腸の温度よりもやや高めの40度で浣腸を行うと、腸壁が適度に刺激され腸蠕動を促進させることができます。
また、40度の温度で注入すると、患者さんの不快感がより軽減されます。
反対に、浣腸液の温度が低いと、血管が収縮して血圧の上昇を招くリスクがあったり、ヒヤッと不快感を招いてしまいます。
浣腸液を温めなくても良いとされる理由
最近は、浣腸液を温めずに常温で行うことを推奨している人もいます。
その理由は、浣腸液の温度調節は難しく、40度を超えた高温になってしまった場合に、腸粘膜の炎症を起こしてしまうリスクが高いこと、
温度が低くて血管の収縮を招き、血圧が上昇したとしてもそれは一時的なものであること、
これらのことを踏まえ、よりリスクの少ない常温で行うべきだという考えがあります。
アンケートの結果は。

看護師への質問。「現場では、浣腸液を温めていますか?温めていませんか?」回答97名。
温める・・・58名(60%)
温めない・・・39名(40%)
看護学生への質問。「学校では、浣腸液を温める、温めない、どちらで習いましたか?」回答179名。
温める・・・157名(88%)
温めない・・・22名(12%)
88%と、ほとんどの看護学生は、【浣腸液を温める】と習っているのに対し、
40%の看護師は、【温めずに常温で】浣腸を行っています。
アンケート結果からわかること
看護学生が、学校で浣腸液を【温める】と習って卒業しても、半数近くは就職してから浣腸液は【温めずに常温で】と指導を受けることになります。
これは就職してからの大きなギャップになりかねません。
実際に、国家試験ではどうしたらいいのか、どちらが正しいやり方なのか、と混乱の声も上がっていました。
国家試験対策としては、どちらが正しいのか。
浣腸液を40度に温めることが、正しいです。
常温で行っているのは、浣腸液が40度以上になってしまうほうが危険だから、という理由であり、40度で浣腸を行えることが理想のため、国家試験では40度に温めると覚えたほうが良いでしょう。
実際に、看護学校では温めると教えているところが多く、最近の模試でも40度に温めることが正解とされているようです。
排便を促す目的のために、浣腸液として使用されるのはどれか。【過去問解説】
まとめ
浣腸液を温めるor温めないは、どちらも正解であり、どちらも間違いではありません。
しかし、40度に温めるのが、患者さんへの不快感も少なく、一番理想的です。
浣腸液を温めなくても良いというのは、温めすぎて高温になってしまうくらいなら、温めなくてもさほど大きな問題は無い、という意味です。
そのため、看護学校では40度に温めて行う、と習うと思いますが、病院や地域によっては、腸粘膜の損傷のリスクを懸念して、常温で行うことを推奨している場所もあるかもしれないので、就職してからは臨機応変に対応をしましょう。
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